介護保険はどんな保険?
介護保険は介護が必要な方に、その費用を給付してくれる保険です。
保険ですから、皆で保険料を負担して、必要な方に給付する仕組みになっています。
どんな保険でもそうですが、給付を受けるには色々手続きをしなければなりませんし、受けられるかどうかの審査もあります。
制度の運営主体(保険者)は、全国の市町村と東京23区で、保険料と税金で運営されています。
サービスを受けるには原則1割の自己負担が必要ですが、前年度の所得に応じて、自己負担率が2割あるいは3割になる場合もあります。
保険料の支払いは何歳から?金額はどうやって決まる?
40歳になると介護保険に加入が義務付けられ、保険料を支払うことになります。
40歳から64歳までの被保険者は加入している健康保険と一緒に徴収されます。
個別の保険料の決め方には各健康保険組合によって違いがあります。
協会けんぽや職場の健保、共済組合の医療保険に加入している方は、給与に介護保険料率を掛けて算出され、事業主がその半分を負担します。
介護保険料率は健康保険組合によって異なります。
さらに医療保険と同じように被扶養配偶者は収める必要がありません。
国民健康保険に加入している方の場合は、所得割と均等割、平等割、資産割の4つを自治体の財政により独自に組み合わせて計算され、介護保険料率も異なります。
所得割は世帯ごとに被保険者の前年の所得に応じて算出されます。
65歳以上の被保険者は、原則として年金からの天引きで市区町村が徴収します。
ただし、介護設備の整備状況や要介護者の人数など、自治体によってさまざまなので、自治体ごとに金額が違います。
負担が大きくなりすぎないように、また、低所得者の保険料軽減のために国の調整交付金が使われています。
サービスを受けられる被保険者とは?
介護保険の加入者には第1号被保険者(65歳以上の方)と第2号被保険者(40歳から64歳までの方)の分類があります。
保険料の支払い義務はどちらにもありますが、サービスの対象者 (受給者) は、原則として第1号被保険者だけです。
第2号被保険者は老化に起因する疾病(指定の16疾病)により介護認定を受けた場合に限りサービスの対象となります。
介護保険で対象となる疾病(特定疾病)
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)
介護保険被保険者証はどこでもらえるの?
制度の運営主体(保険者)は市区町村ですから、お住まいの自治体の介護保険課、高齢者支援課など(自治体により窓口の名前が違います)が窓口となります。
65歳以上の方には一人ひとりに被保険者証が郵送で交付されます。
40歳から64歳までの方には、通常発行されません。
ただし、特定疾病に該当する場合には、介護認定されたのち、発行されます。
介護保険被保険者証は、65歳の誕生月に市区町村より交付されますが、そのままでは介護保険サービスは利用できません。
介護保険サービスを利用する場合には、介護認定を受けるための手続きをすることを忘れないようにしましょう。
介護保険で受けられるサービス
要介護認定されると、介護保険で以下のようなサービスが受けられます。
(1) 居宅介護支援
- ケアプランの作成、家族の相談対応など
(2) 居宅サービス
訪問型サービス
- 訪問介護
- 生活援助(掃除や洗濯、買い物や調理など)
- 身体介護(入浴や排せつのお世話)
- 訪問看護(医師の指示のもと、看護師が健康チェックや、療養上の世話など)
- 訪問入浴介護(自宅に浴槽を持ち込み入浴介助を受ける)
- 訪問リハビリテーション(リハビリの専門家に訪問してもらい、自宅でリハビリを受ける)
- 居宅療養管理指導(医師、歯科医師、薬剤師、栄養士などに訪問してもらい、療養上の管理・指導を受ける)
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間対応型の訪問介護・訪問看護サービス)
通所型サービス
- デイサービス(食事や入浴などの支援や、心身の機能を維持・向上するためのリハビリやレク、「おいしく、楽しく、安全に食べる」ための、口腔清掃や口唇・舌の機能訓練などを日帰りで行う)
- デイケア(施設や病院などで、日常生活の自立のために理学療法士、作業療法士などがリハビリを行う)
- 認知症対応型通所介護(認知症と診断された高齢者が利用するデイサービス)
短期滞在型サービス
- ショートステイ(施設などに短期間宿泊して、食事や入浴などの支援や、心身の機能を維持・向上するためのリハビリの支援など。家族の介護負担軽減や施設入居準備などに利用できる)
(3) 施設サービス
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設(療養病床 ※「介護医療院」に順次転換予定。)
(4) 福祉用具に関するサービス
- 介護ベッド、車イスなどのレンタル
- 入浴・排せつ関係の福祉用具の購入費の助成(年間10万円が上限で、その1~3割を自己負担することで購入できる)
(5) 住宅改修
- 手すり、バリアフリー、和式トイレを洋式にといった工事費用に補助金が支給される。最大20万円まで。利用者はその1割~3割を負担。
また、有料老人ホームで、自治体から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているところは、介護サービスに介護保険が適用されます。月額の費用もサービス内容もさまざまですので、よく調べてから利用するようにしてください。
制度のなりたち
日本の老人福祉制度は高齢化率5.7%の1960年代に始まりました。
70年代には老人医療費無料化が実施され、安心して医者に掛かれるようになりました。
その後社会的入院や寝たきり老人が問題化し、医療費の高騰を招きます。
高齢化率も80年代には9.1%に達し、医療が必要ではない、生活の支援(介護)のための長期入院が増え、病床が足りなくなります。
90年代には12%に達した高齢化率で、今後の政策転換を余儀なくされました。
今までの施設介護から在宅介護に移行すること、核家族に介護の負担を過剰に負わせないようにすることを目的として、2000年に介護保険が施行されました。
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