夜間対応型訪問看護
できる限り自立した生活を送るために、自宅で介護サービスを受けたいと思っている方は少なからずいます。または、夜に仕事があって親の介護ができないという方もいるでしょう。介護サービスには様々な種類がありますが、昼間しか訪問介護サービスを受けられないと思っている方は多いです。
しかしそれは間違いで実は夜間に対応している「夜間対応型訪問介護」というサービスがあります。今回は、夜間対応型訪問介護のサービス内容はどんなものなのか、メリット・デメリットはあるのかなどを詳しく解説していきます。
夜間対応型訪問介護とは
夜間対応型訪問介護は、利用者ができる限り自宅で自立した生活を24時間安心して送れるように、夕方6時から8時にかけての夜間帯に介護職員が利用者の自宅を訪問して介護サービスを提供します。夜間対応型訪問介護は、夜間にベッドから転落して自力で起き上がれない時や急に容体が悪くなった時などに対応してくれるため、緊急時でも安心して介護サービスを受けられるのが特徴です。
また、家族が夜間の介護に対応できなくなってしまった場合や、夜間の介護負担を解消するためにも利用されています。夜間でも介護サービスを受けられるのは、利用者にとっても家族にとっても安心できると言えるでしょう。
夜間対応型訪問介護の利用条件
夜間対応型訪問介護は地域密着型介護サービスのため、原則として利用する事業所と同一の市区町村に住んでいる人が利用できます。さらに要介護認定で、「要介護1~5」に認定されている方でないと利用できません。つまり、要介護認定で「自立」もしくは「要支援1~2」と認定されている方は利用できないのです。
また、利用したい事業所とは別の市区町村に住んでいたり、グループホームや有料老人ホームなどの施設に入所していたりする場合は利用できないので注意しましょう。小規模多機能型居宅介護やショートステイを利用している方も、夜間対応型訪問介護は利用できません。
夜間対応型訪問介護のサービス内容
夜間対応型訪問介護には、定期巡回と臨時対応の2種類のサービスに分けられます。利用者は必要に応じて定期巡回サービスと臨時対応サービスのどちらも利用でき、いつでも安心して夜間を過ごせるようになっています。
なお、利用者がオペレーションセンターなどに通報できるように、ケアコール端末を持つことがこのサービスを提供する条件です。ここでは、それぞれのサービス内容について解説していきましょう。
定期巡回
定期巡回は、あらかじめケアプランで決められた時間に介護職員が利用者の自宅を定期的な時間に巡回して、排泄の介助や安否確認などをします。1回の訪問は30分が目安となっていますが、必要に応じて時間を延長することも可能です。また、介護に必要のない家事や来客の対応、ペットの世話などはサービスにならないので注意してください。
夜間対応型訪問介護における夜間とは夕方6時から朝8時までを含む時間帯で、サービスの提供時間は各事業所で設定されています。そのため、夜10時から深夜12時までサービス提供をしている事業所もあれば、深夜11時から朝5時までサービスを提供している事業所と様々です。ただし、朝8時から夕方6時までの時間帯はサービスに含まないので注意しましょう。
臨時対応
臨時対応サービスは、ベッドから転落して自力で起き上がれない時や急に容体が悪くなったなど異変があった時に、利用者のケアコール端末からの通報に応じて介護職員が臨時で訪問するサービスです。ケアコール端末とは、ボタンを押すなどの簡単な操作によって直接事業所に連絡できる機器のことを言います。設置は電話回線があれば、業者が無料で取り付け工事をしてくれます。
臨時対応サービスは介護福祉士などの資格を持ったオペレーターが最初に対応してくれて、利用者の状況に応じて介護職員を派遣したり主治医に連絡して救急車の手配をしたりなど判断してくれます。そのため、夜間対応型訪問介護のサービスを提供している事業所は、必ず訪問看護ステーションや主治医との連携を確保しています。
事業所の中にはオペレーションセンターを設けている所もあり、利用者の健康データを確認して救急車の手配や主治医に連絡をしています。しかし夜間対応型訪問介護の利用者が少なく、介護職員が通報に十分対応できる状態の場合は、オペレーションセンターを設置しなくてもいいことになっています。
ただしオペレーションセンターを設置しない場合でも、ケアコール端末は配布されます。一般の電話や携帯電話での通報は認められていないので注意しましょう。
臨時対応サービスも定期巡回と同じように、1回の訪問で30分が目安となっていますが、必要に応じて延長できます。サービス提供時間内であれば何度でも利用できますが、利用した数に応じて料金がかかるので注意しましょう。
夜間対応型訪問介護のメリット・デメリット
介護サービスを利用するにあたり、メリットやデメリットは付きものです。夜間対応型訪問介護にも、もちろんメリット・デメリットがあります。夜間対応型訪問介護のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
夜間対応型訪問介護のメリットは、利用者が不安になりがちな夜間でも対応してくれることの安心感があることです。要介護認定を受けている利用者の中には一人暮らしや夫婦で暮らしている方が多く、遠く離れている家族が安否確認できるので安心です。また老々介護の世帯で細部まで介護できない場合や、毎週金曜日が残業で帰る時間が遅くなるという場合など、スポットで利用できる点は安心できます。
何よりも、不安になりがちな夜間に定期巡回をしてくれる点は一番心強いでしょう。有料老人ホームなどの施設に入所している時の夜間対応はケアコールを押せば駆けつけてくれますが、夜間の定期巡回をしてくれる所は少ないです。1回の訪問に30分ですが、定期的に巡回してくれることは要介護5に認定されている利用者でも安心できるでしょう。
さらに家族の介護負担を軽減してくれるのも、メリットの一つです。利用者と同じように、介護をする家族にも生活があります。介護をする家族が夜間に仕事をしていたり子育てをしていたりするケースは多く、それに加えて介護をするとなると介護疲れが出てしまいます。夜間の訪問介護サービスを活用すれば、家族の心も安定したものになるのです。
デメリット
夜間対応型訪問介護のデメリットはオペレーションセンターが設置されている事業所の場合の料金体制です。月々に掛かる費用の場面でも解説したとおり、基本料金が月額で1,009円掛かり、さらに定期巡回や臨時対応を1回するたびに料金が加算されていきます。利用者が一人暮らしの場合は定期巡回を毎日するとなると、1回あたり378円(自己負担1割)なので、30日で11,340円です。
さらに週2回臨時対応をした場合、臨時対応の費用が1回あたり576円(自己負担1割)なので4,608円です。一人暮らしの利用者が毎日定期巡回のサービスを受けて、週に2回臨時対応サービスを受けた場合に月々にかかる費用は、16,957円(自己負担1割)となります。オペレーションセンターを設置していない場合は2,742円と安価になりますが、その分臨時対応サービスをあまり受けられないなどのトラブルが起きることもあります。
サービスとしては利用者を助けてくれる非常に有益なものですが、1回利用するごとに料金が加算されてしまうので、無計画にサービスを活用して請求された費用を見て驚愕することにならないためにもケアプランはきちんと立てておきましょう。