介護老人保健施設
高齢者施設には、社会福祉法人や自治体が運営する公的施設があります。そのうちの1つが通称「老健」と呼ばれる「介護老人保健施設」です。全国には約4,200施設あり、35万人以上の高齢者が利用しています。
多くの方が利用している介護老人保健施設とはいったいどんな施設でしょうか?「どんなサービスが受けられるの?」「月々の費用はどのぐらい?」「特別養護老人ホームとの違いは?」など、介護老人保健施設を検討中の方が気になるポイントをまとめてみました。専門家の監修の元、特徴・サービス・費用・注意点を解説していきます。
介護老人保健施設(老健)は介護保険施設
「介護老人保健施設(通称:老健)」の特徴を紹介する前に、老人ホームや介護施設の種類と違いについて触れておきます。
老人ホームや介護施設にはあらゆる種類があり、違いが分かりにくいかもしれません。 大きく分けると社会福祉法人や自治体が運営する「公的施設」と、民間事業者が運営する「民間施設」の2種類です。 公的施設には、国が提供する介護保険サービスである「介護保険施設」も含まれます。
今回紹介する介護老人保健施設は、営利目的の民間施設とは異なり、公的な介護保険施設の1つに該当することを覚えておきましょう。
老人ホーム・介護施設の種類一覧
公的施設
・介護保険施設
介護老人保健施設(老健)
特別養護老人ホーム(特養)
介護医療院
介護療養型医療施設
・福祉施設
ケアハウス
民間施設
・有料法人ホーム
介護付有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
・高齢者向け賃貸住宅
サービス付き高齢者向け住宅
・地域密着型
グループホーム
小規模多機能型居宅介護施設
リハビリを通じて在宅復帰を目指す施設
介護老人保健施設を端的に説明すると「リハビリを通じて在宅復帰を目指す施設」です。
「退院後にすぐに自宅で暮らすのは難しい」といった人たちの受け皿となる「自宅と病院の中間的な施設」ともいえるでしょう。
介護保険施設であると前述しましたが「介護保険法第8条第28項」には介護老人保健施設の定義が記されています。
介護保険法第8条第28項
〔 定 義 〕 介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図 り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、 施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その 他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。
介護保険法によると、介護老人保健施設は「在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設」であり「リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設」です。
法で定められている介護老人保健施設(老健)の基準とは
介護老人保健施設は、入所基準やスタッフの人員配置、居室面積など、法律で基準が定められています。施設によって多少は異なりますが、基準を下回ることはありません。どんな基準があるのか見ていきましょう。
入所基準
入所対象は、65歳以上であり要介護1以上の高齢者です。また、40~64歳であり特定疾病により介護認定を受けている方も入所できます。
スタッフの人員配置
医師、看護師、介護職員、リハビリの専門スタッフなど、あらゆる職種のスタッフと連携し、入居者の生活をサポートします。一般的な民間の介護施設や老人ホームに比べて、医療従事者の配置が多いことも特徴でしょう。
職種別人員配置
・医師
常勤1人以上、100人に対して1人以上配置
・看護師・介護職員
3人に対して1人以上配置、 うち看護(准看護師)は7分の2の割合
・理学療法士、 作業療法士 、または言語聴覚士
100人に対して1人以上配置
・支援相談員
1人以上配置
・薬剤師
施設の実情に応じた適当数配置 (標準は300人に対して1人)
・栄養士
100人以上の場合は、1人以上配置
・介護支援専門員
1人以上配置 (標準は100人に対して1人)
・調理員、事務員その他の従業者
実情に応じた適当数