給与計算の重要性
間違いが許されない
会社で働く人には、毎月、給与を支給します。そして、給与明細書を渡します。
なぜ、毎月支給するのでしょうか。
給与明細書は、必ず渡さなければならないのでしょうか。
また、毎月の給与といっても、25日払いの会社もあれば15日払いの会社もあります。給与の支払日は、どうやって決まるのでしょうか。
会社で働く人にとって、給与は毎月の生活を支える重要なものです。
その給与計算を間違えたら….。その給与の支払いを期日どおりにできなかったら….。働く人にとってはもちろん、会社にとっても大問題になりかねません。
特に近年、「サービス残業」や、「名ばかり管理職」「ブラック企業」といった言葉が、マスコミで大きく取り上げられています。その問題のほぼすべてに、給与の支払が関係しているのです。
給与から引かれる社会保険料には健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料があります。
これらの保険は、法律に沿って手続きを行い、それに基づいて給与から正しい保険料を控除していく必要があります。
また、正しい給与計算を行っていないことで、将来の年金額が変わってくることもあります。
万一失業したときに受け取る失業給付の金額も誤ったものになる可能性もあります。
さらに、各保険料率の改定は近年頻繁に行われるため、給与から控除する保険料もそのたびに変わります。
時には保険制度の仕組み自体も変わることがあります。給与計算担当者はこうした法改正を常に把握し、正しく手続を行うとともに給与計算に反映していかなければならないのです。
給与計算を担当する人にとっては、社会保険料や所得税などの税金に関する法律知識だけでなく、もっと広く労働関係に関する法律知識が必要とされる時代になってきました。
つまり、給与計算担当者には、法律をはじめとしたルールに沿って計算するという、コンプライアンス(法令遵守)が要求されているのです。
国の事務を代行している
給与計算は会社の諸規定と法律に基づいた支給金額から、所得税・住民税といった税金や厚生年金保険・健康保険・雇用保険といった社会保険料などを控除して各社員の差引支給額(一般的に「手取り額」といいます)を計算する過程の事務作業です。
税金や社会保険料は所得税法や厚生年金保険法・健康保険法・介護保険法といったぞれぞれの法律で、会社が給与を支払う場合に強制的に徴収(源泉徴収)する決まりになっています。
つまり、国の税金や保険料の徴収事務を会社が一部負担して行っていることになります。
例えば、給与計算の過程で所得税の計算をします。この所得税の納付は、給与支払月の翌月の10日までとなっています。
納付期日までに納付しなければ、納付額に対して延滞税が発生します。
納付額が大きいと延滞税も大きくなり、会社は多大な損害を受けることにもなります。
よく起きるのは、計算を間違えて少なく収めるケースです。この場合、本来納めなければならない金額との差額に対して、延滞税が発生することになります。
このため、給与計算担当者には、数字を正確に計算することが要求されます。