遅刻早退控除・欠勤控除
遅刻早退控除・欠勤控除について、説明します。
ノーワーク・ノーペイの原則
給与明細書には、遅刻早退控除と欠勤控除があります。
これは、文字どおり、遅刻や早退した場合に給与から差し引かれる金額(遅刻早退控除)と、私用などで会社を休んだ場合に給与から差し引かれる金額(欠勤控除)が記載されます。
労働契約では、労働を提供する対価(対償といいます)として、賃金を受け取るという労働関係になっています。
つまり、労働者には、所定労働時間労働するという義務を負う代わりに、対償として賃金を受け取る権利が発生します。
そこで、所定労働時間に働かなかった時間がある場合は、会社は働かなかった時間分の給与を支払う必要がなくなるのです。
これを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。
給与は、働いた分の対価として支払うため、控除するのは当然といえます。
遅刻早退控除・欠勤控除の規定
遅刻早退控除や欠勤控除については、労働基準法に規定がありません。
そこで、会社によってさまざまな控除の規定が設けられています。
欠勤控除の規定で一般的なのは、欠勤1日につき、1年間の月平均の所定労働に数分の1を控除するというものです。
また、欠勤1日につき、その月の所定労働に数分の1を控除するというものもあります。
そのほか、控除する給与が基本給だけという規定があったり、欠勤が4日以上となった場合に4日目から控除するという規定であったりします。
給与計算事務が複雑にならないように、しかも、減給の制裁の制限規定に違反しないように定めておく必要があります。
遅刻早退の規定で一般的なものは、1時間当たりの賃金額に、遅刻早退により労働しなかった時間を乗じた額を差し引くというものです。
減給の制裁規定の制限
減給の制裁(ペナルティ)とは、職場の規律に違反した労働者に対する制裁として、本来ならその労働者に与えるべき給与の中から一定額を差し引くことをいいます。
労働基準法上、就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1をこえてはならないという制限があります。
「一賃金支払期における賃金の総額」とは、その賃金支払期の実際に支払われるべき賃金の総額をいいます。
したがって、実際に支払われる賃金の総額が欠勤などのために少額となるときは、減給の制裁の額は、少額となった賃金の総額の10分の1以内としなければなりません。
なお、減給の制裁の総額が「一賃金支払期における賃金の総額の10分の1」を超える部分は、次期以降の賃金支払期に繰り越して減給することができます。