人事労務情報　【中途採用について】

文責　社会保険労務士井戸

中途採用について

コロナ禍からの経済活動の再開に期待を寄せている処ですが、人手不足が水を差す懸念が高まっています。
帝国データバンクによると、人手不足と感じる企業の割合は今年９月時点で、正社員については５割に達したとしています。

折角、国民の自粛ムードが緩和し需要熱が高まってきても、働き手を確保できなければ売り上げを戻すのが難しくなります。

労働力確保のため中途採用は、どの企業にとっても欠かせないことですので、そこで今回は、　中途採用の注意点などについてまとめてみました。

中途採用を成功させるには、下記のような手順を踏む必要があります。

(1)　中途採用計画の立案
(2)　中途採用者の募集
(3)　中途採用時の面接の仕方
(4)　中途採用決定
(5)　中途採用者の試用期間の設定
(6)　その他の中途採用の注意点

(1)　中途採用計画の立案

中途採用を成功させるためには、次の事を具体的に立案し、整備する事が大切です。

中途採用計画　

〇　中途採用する職種（仕事の内容）と人員、年齢、就業の場所
〇　中途採用者の学歴及び履修科目、必要な経験、免許、資格等（即戦力の人材確保に必要）
〇　中途採用者の労働時間、休日、休暇、賃金（基本給、諸手当）昇給、賞与、退職金等の労働条件

(2)　中途採用者の募集

中途採用計画を立案しましたら、具体的に中途採用者を募集します。

中途採用者の募集は、有料の広告媒体などを使う方法もありますが、私の拙い経験から申し上げますと、ハローワーク経由の求職者の方がより良い人材を確保できる可能性があるように思えます。

ハローワークを使った求人募集をするのであれば、ハローワークインターネットサービスが大変便利です。
ハローワークインターネットサービスにつきましては、次回この場でご説明します。

中途採用者の募集要項は、会社が必要とする中途採用者の学歴、資格、職務遂行能力等と、働く人の労働時間、賃金等の労働条件が、十分理解できるよう具体的に明示する事が大切です。

また、中途採用者募集にあたり､関係法令に抵触しにいよう十分注意する事が必要です。
具体的には、

〇　職業安定法
〇　労働基準法
〇　安全衛生法
〇　雇用機会均等法
〇　育児及び介護休業法
〇　パート労働法
〇　労働社会保険法

などです。

(3)　中途採用時の面接の仕方

求職者から応募がありましたら、面接に進むと思いますが、中途採用時の面接は以下の事に注意して進めます。

面接時の注意点

①　求職者の面接時の服装
②　会社の事業目的、中途採用方針、中途採用者の職務内容、中途採用者の労働条件等を十分説明する
③　求職者の希望や条件を聴く
（応募者の職務経歴、特技、資格、人生観、趣味等）
④　職歴を中心とした中途採用試験を行う
事務系、営業系については筆記試験を行い、職務遂行能力がどの程度あるのかを判定する（何が専門で、何が出来、何をしたかを調べる）
⑤　技術系については実技テストを行う
（作業の段取り、正確さ、早さ、出来映え作業態度等を調べる）
⑥　職場生活、団体行動の適否を判定する
⑦　中途採用面接合格者には、健康診断書を提出させる

弊社では、
①　求職者の面接時の服装
②　会社の事業目的、中途採用方針、中途採用者の職務内容、中途採用者の労働条件等を十分説明する
③　求職者の希望や条件を聴く
を特に重要視しています。

ご存じのように弊社は、社会保険労務士・行政書士事務所なのですが、パート希望の主婦の方などでデニム等の普段着で面接に来られる方がいらっしゃいます。
そのような方は、採用してもまず続かないので絶対採用をしません。
ですので、①　求職者の面接時の服装は、重要視しています。

また、会社・求職者にとって、不幸なことは、採用・入社した後に互いが【こんなはずじゃなかった・・・】と後悔することです。

採用・入社した後に後悔しないように面接時には、②　会社の事業目的、中途採用方針、中途採用者の職務内容、中途採用者の労働条件等を十分説明する
③　応募者の希望や条件を聴くことは大切なことです。

(4)　中途採用決定

中途採用時の面接の結果を総合的に検討し、採否を判定します。

中途採用する場合

出来るだけ早く中途採用内定を通知する必用があります。
この場合、電話で連絡し、次いで文書により正式通知する方法もあります。
入社時の待遇、勤務内容を面接時に説明していない場合には、改めて通知してあげてください

中途採用しない場合

出来るだけ早く、悪印象を与えないよう、十分注意して不採用を通知してください。

お預かりしている履歴書等がございましたら速やかにご返却してあげてください

(5)　中途採用者の試用期間の設定

人事戦略上、試用期間を設けて中途採用者を募集をする事は大切なことです。
しかし、試用期間は労働者にすれば不安定な立場に置かれ　法的規制も多々ありますので注意が必要です。

試用期間についてはこちらをご覧下さい。

(6)　その他の中途採用の注意点

その他の中途採用につきまして注意点をまとめてみました。

〇　中途採用者募集時の労働条件が就業規則の基準に達しない場合は、その部分については無効となります。
無効となった部分は、就業規則の定める基準が適用されます。
〇　中途採用者募集時の労働条件が誇大の場合は、トラブルの原因になりますので、ハローワーク等への求人の際には注意が必要です
〇　中途採用面接時に、次のような質問をすると、基本的人権を犯すことになりますので避けましょう。
・　本籍地
・　家族の職業や収入及び資産など
・　思想や支持政党
・　加入している宗教
・　その他労働に直接関係のない事項（特にセクハラには注意します。）
〇　中途採用者の労働条件の説明が曖昧の場合は、応募者に誤解され、トラブルの原因になります。
〇　採用通知をした後で採用を取り消すと、解雇と見なされることがあります

中途採用時の注意点はひまわり事務所にお尋ねください