社会保険料
社会保険は広義に捉えると、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5種に分けられます。
また、狭義に捉えると、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の3つを合わせた【社会保険】と、「雇用保険」「労災保険」からなる【労働保険】に分けられます。
狭義の社会保険
- 社会保険
・健康保険
・厚生年金保険
・介護保険 - 労働保険
・雇用保険
・労災保険
以下、狭義の社会保険について、説明していきます。
社会保険
社会保険とは、病気・ケガ、老後の資金不足、失業などの国民生活における万が一のリスクに備えるための公的保険制度のことをいいます。
健康保険
健康保険とは、被保険者が業務外で病気やけがをしたときや、休業、出産、死亡といった事態に備える公的な医療保険制度です。
日本には地域や職域、年齢などに応じた公的な医療保険制度がありますが、いずれも加入者が支払う保険料を主な財源とし、必要な人が必要なときに、必要な医療を受けられるしくみが整えられています。
被保険者には日雇特例被保険者を含みます。
また、業務外とは、労災保険から給付がある業務災害以外の場合を言います。
健康保険の種類
- 全国健康保険協会管掌健康保険・・・全国健康保険協会が保険者(協会けんぽ)
- 組合管掌健康保険・・・会社や業種ごとに設立された健康保険組合が保険者(組合保険)
厚生年金保険
厚生年金保険とは、厚生年金保険の適用を受ける事業所(企業)に勤務する会社員や公務員など70歳未満の人が原則として全員が加入する公的年金制度です。
パート勤務やアルバイトとして働く人でも、雇用期間や賃金月額、1週間の所定労働時間や1カ月の所定労働日数などの条件を満たしていると厚生年金に加入します。
厚生年金保険の適用事業所
厚生年金保険は、事業所単位で適用されます。
- 強制適用事業所
厚生年金保険の適用事業所となるのは、株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)です。
また、従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、農林漁業、サービス業などの場合を除いて厚生年金保険の適用事業所となります。 - 任意適用事業所
上記1.の適用事業所以外の事業所であっても、従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所となることができます。
厚生年金保険の被保険者
- 被保険者
厚生年金保険に加入している会社、工場、商店、船舶などの適用事業所に常時使用される70歳未満の方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となります。
「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。
試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められることとなります。 - パートタイマー・アルバイト等
パートタイマー・アルバイト等でも事業所と常用的使用関係にある場合は、被保険者となります。
1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である方も対象です。
1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満、1カ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満、またはその両方の場合で、次の5要件を全て満たす方は、被保険者になります。
- 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 雇用期間が1年以上見込まれること
- 賃金の月額が8.8万円以上であること
- 学生でないこと
- 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めていること(国、地方公共団体に属する全ての適用事業所を含む)
介護保険
介護保険制度は、平成12年4月からスタートしました。
皆様がお住まいの市区町村(保険者といいます)が制度を運営しています。
私たちは40歳になると、被保険者として介護保険に加入します。
65歳以上の方は、市区町村(保険者)が実施する要介護認定において介護が必要と認定された場合、いつでもサービスを受けることができます。
また、40歳から64歳までの人は、介護保険の対象となる特定疾病により介護が必要と認定された場合は、介護サービスを受けることができます。
介護保険サービスの対象者等
- 40歳以上の人は、介護保険の被保険者となります。
①65歳以上の人(第1号被保険者)
②40~64歳までの医療保険に加入している人(第2号被保険者) - 介護保険のサービスを利用できる人は次のとおりです。
<65歳以上の人>(第1号被保険者)
→ 寝たきりや認知症などにより、介護を必要とする状態(要介護状態)になったり、家事や身じたく等、日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった場合。
<40歳~64歳までの人>(第2号被保険者)
→ 初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる病気(※特定疾病)により、要介護状態や要支援状態になった場合。
※介護給付や予防給付のサービスを利用するには要介護(要支援)認定を受ける必要があります。
特定疾病
特定疾病とは次の16種類をいいます。
筋萎縮性側索硬化症 | 脳血管疾患 |
後縦靭帯骨化症 | 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 |
骨折を伴う骨粗しょう症 | 閉塞性動脈硬化症 |
多系統萎縮症 | 慢性関節リウマチ |
初老期における認知症 | 慢性閉塞性肺疾患 |
脊髄小脳変性症 | 脊柱管狭窄症 |
糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 | 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 |
早老症 | 末期がん |
労働保険
労働保険とは、雇用保険と労災保険(労働者災害補償保険)を総称したものです。
労働者を雇用する事業開始された日から保険関係が生じ、保険加入者(事業主)は、保険者(政府)に保険料を納付する義務を負います。
また、被保険者(労働者)は、保険事故(失業・業務災害・通勤災害)が生じた場合に、保険者に対して保険給付を請求する権利を持ちます。
雇用保険
雇用保険制度は、次の主要事業を行うなど雇用に関する総合的な機能を持った制度です。
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- 労働者が失業した場合に次の就職までの一定の間、生活の安定を図って就職活動を容易にするため「求職者給付」を行う。
- 失業者の再就職の促進を図るため「就職促進給付」を行う。
- 労働者の雇用の継続を図るため「雇用継続給付」を行う。
- 労働者の能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図るため「教育訓練給付」を行う。
- 労働者の雇用の安定、能力の開発等を図るため「雇用保険二事業」を行う。
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雇用保険の手続きは、事業所を管轄する公共職業安定所が行います。
労災保険
労災保険とは、労働基準法の災害補償の規定に基づく使用者責任を代行する機能をもった制度で、業務災害や通勤災害を受けた労働者を受けた労働者の負傷・病気・死亡等に対して事業主に代わって必要な保険給付を行い、被災者・遺族を援護するものです。